5月19日、「迎賓館・横田爆取裁判」の控訴審判決公判において東京高裁第3刑事部(中川武隆裁判長)は、「原判決を破棄し、東京地方裁判所に差戻す」との不当な判決を行いました。この判決は、無罪の原審判決(2004年3月25日)を真っ向から否定する絶対に許せない不当判決であり徹底して弾劾します。 私たちは無実・無罪です。迎賓館事件にも、横田事件にも関与していません。 原審無罪判決は正しく、そこに判断の誤りはありません。この正しい判決を、ただの一度たりとも審理することなく、誤りだとして原審裁判所へ差し戻した5・19判決を絶対に許すことは出来ません。 本件は、87年10月の不当逮捕以来19年の歳月を経て、超長期の裁判となっています。そもそも、一審の判決までに15年半もかかって、審理はし尽くされ、証拠は精査され尽くしています。いまさら「審理不尽」だとか「証拠の評価に誤りがある」などと言うことは絶対にできません。 この間、須賀武敏、十亀弘史、板垣宏は、15年2ヵ月にもわたる拷問的な未決勾留を受けて、一切の人間的自由を奪われ、健康を害しながらたたかい続けて、ようやく04年3月25日に無罪判決をかちとることが出来たのです。
卑劣で狡猾な判決を許さない!
その喜びを中川裁判長は踏みにじり、審理もしないでさらに長期に私たちをを被告席に縛りつけ、有罪判決を押しつけようとしているのです。このような非人間的な判決は撤回させ、粉砕する以外にありません。 判決に至るまでに、控訴審の公判はたった1回しか開かれていません。しかも、その公判で、裁判所は検察官請求証拠のすべてを却下し審理せずに結審しています。一審が無罪である場合に、控訴審で審理しないでその認定内容を変更し、自判することは出来ないとの最高裁判例が存在します。 したがって、判決は控訴棄却以外にありえず、弁護団・被告団は控訴棄却判決がなされるものと確信していました。
しかし、高裁は上記のように「原判決を破棄し、東京地方裁判所に差し戻す」と判決したのです。この判決は「差し戻し」の形式をとってはいますが、実質的には「自判」したのとまったく同じであり判例違反です。すなわち、形式的には「原審に差し戻す」という構造をとりつつ、実際には原審無罪判決の判断・評価をことごとく否定し、あたかも「有罪判決を自判」したかのような内容を展開しています。だまし討ちであり、これほど卑劣かつ狡猾な判決はありません。 控訴審で取り調べて自判する事が出来るはずであるのに、なぜか中川裁判長は検察官証拠調請求のすべてを却下し、判決でそれらの証拠を原審で取り調べていないことが審理不尽であるから差し戻すとしています。それ自身まったく矛盾した内容になっています。 さらに、証拠請求を却下し、取り調べていない金沢等の証拠で事実認定をするという誤りを犯しています。一体、証拠採用せず、裁判官が見るはずもない証拠、そして審理を一度もしていない証拠について、中川裁判長はなぜ「共謀を推認させる証拠」だなどと一審判決の判断とは180度異なる勝手な判断が出来るのでしょうか。 はじめに「共謀」があったと独断した上で、後からむりやり屁理屈をつけただけの極めて政治的な判決であるとしか言いようがありません。共謀罪を先取りした反動判決です。まして、一切の審理なしに一審での無罪判決を高裁で変更できるということになれば、私たちの裁判のみでなくすべての裁判で、無罪判決を勝ちとることなど出来なくなってしまいます。大変な事態です。共謀罪の今国会での成立を阻止すると共に、この反動判決を粉砕しましょう。
「控訴棄却判決を求める申入書」に多数の弁護士・法学者が賛同
メモの解釈を巡る判断についても、審理もしていないのに平気で原審の判断は誤りであると決めつけています。被告・弁護側の審理する権利、裁判を受ける権利を奪った憲法違反、判例違反の最低・最悪の判決です。 被告・弁護団は判決直後に上告し、この不当判決を粉砕する闘いに直ちに立ち上がっています。なんとしても最高裁でのたたかいに勝利しましょう。 本件裁判では、「控訴棄却判決をせよ」との賛同署名が、全国で200名をこえる刑法学者・弁護士等を中心に寄せられ、高裁に提出されています。中川裁判長による5・19判決はこれを無視して行われており、この点でも正しい意見を無視した独善的な判決であり、判決の名に値しません。 中川裁判長は、立川反戦ビラまき事件でも一審無罪判決を逆転有罪判決とした反動的裁判官です。検察官の言いなりになって、一審無罪判決を次々と逆転させていく反動裁判官を許さず、罷免・追放しよう。 2006・5・20 |