人選会議では座長の新里米吉・社民党県連書記長が、糸数氏や山内氏、下地氏との会談結果を受け「糸数氏は『国政に専念する意思は変わらない』と出馬を否定。山内氏も、『政党や市民団体、労働団体の支持を受け、私個人の問題ではない。即答できない』と選考辞退を言及しなかった」と説明。糸数氏の後援会の出馬反対も強く、「糸数氏で一本化できる条件、環境が整っていない」とした。

　山内、下地氏でまとまらない状況で、社民、共産、自由連合は「協議の打ち切り」、社大、民主、「そうぞう」は「協議継続」をそれぞれ主張。座長の新里氏が「会議が二分された状況では、統一候補の選考はできない」として人選会議の解消を提起、確認された。

　新里氏は「一本化できる確かな見通しがない以上、人選を白紙にし、早めの立ち上がりを期待したい。まとまらなかったのは残念で、座長としての力量不足を痛感している」と述べた。

　会議解消を受け、社民は二日午後三時に執行委を開き、当初から推薦している山内氏支持の方向で話し合う。共産も「山内氏支持で再結集する」との方針を示す。

　社大の喜納昌春委員長は「政党政治の危機で、四年前の分裂劇より状況は厳しく、最悪の状態」と批判。社民、民主、そうぞうの代表者を二日にも集め、意見交換する意向を示した。

　民主の喜納昌吉代表も「出馬ありきで譲り合いがなく、解消になったのは残念。『そうぞう』や社大と協議し、新たな候補者を選考する」と述べた。自由連合も持ち帰って、今後の方針を検討する。「そうぞう」の前川朝平幹事長は「継続を求めたが、決裂し、残念だ。今後の対応は持ち帰り、検討する」とした。

　六者協議の解消について、山内氏は「一本化できなかったのは残念。各政党が再結集し協力し合うことを望む。私の思いは変わるものではないが、最終判断は政党関係者や労組、市民の会とも相談して決めたい」と語った。

　下地氏は「糸数氏で一本化に向けてまとまろうとしてきただけに、（六者協議が）解散したのは非常に残念だ。どうしたら勝てるのか、協議し模索していきたい」と述べた。　　
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［解説］調整４カ月白紙に／分裂・三つどもえか　野党、迫られる新枠組み
　十一月の知事選に向けた野党五党と政治団体「そうぞう」の人選会議は一日、参院議員の糸数慶子氏（５８）の一本化への調整断念で行き詰まり、四カ月余り続いた協議は解消した。新たな枠組みでの人選を余儀なくされる野党陣営の選挙態勢の立ち遅れは必至だ。各党・団体は選考に残った元県出納長の山内徳信氏（７１）と、「そうぞう」代表で衆院議員の下地幹郎氏（４５）を軸に新たな枠組みづくりが緊急の課題になる。

　与党陣営から出馬が決まった県商工会議所連合会長の仲井真弘多氏（６７）との事実上の三つどもえの争いの公算も大きい。前回の知事選に続く内紛劇で、野党陣営の調整機能が不全に終わったことへの批判も起きかねず、人選にかかわった各党幹部の責任問題も浮上しかねない状況だ。

　山内、下地氏で一本化できないこう着状態の打開策として、八月二十九日の人選会議で決まったのが、糸数氏での一本化だった。下地氏の擁立を目指す「そうぞう」も「糸数氏でまとまるなら受け入れる」と柔軟姿勢。難色を示していた共産も「共闘を維持するために、山内氏の了解を前提条件に糸数氏の擁立を検討する」と方針を転換したことで、一本化の機運が高まった。

　しかし、山内氏は「政党、労組の支持を受け、即答できない。決意は変わらない」と出馬に強い意欲を表明。

　糸数氏も「国政に専念する姿勢は変わらない。恩師を差し置いての出馬など考えられない」と固辞、人選会議で打つ手は消えた。

　山内氏を支持する市民グループも八月三十一日に会見を開き、野党陣営の人選作業を批判、「六者でまとまらない場合でも、山内氏に出馬を要請する」と態度を硬化させた。

　山内氏の固い出馬への意欲を前に、糸数氏で一本化する最後の調整は実らなかった。

　両氏への意向聴取、公開での討論集会、両氏の直接会談など異例の取り組みは結果的に、候補者の「既成事実化」につながり、協議の分裂の事態を招いた。

　ある野党幹部は「前回の分裂より、最悪の事態。政党の主体を失った政党政治の危機だ」と嘆いた。副座長の比嘉京子・社大党書記長は「発展的解消ととらえ、新たな展望を見いだしていきたい」と希望をつないだ。今後の候補者選考に野党陣営の浮沈が懸かっている。（政経部・与那原良彦）